我が家では妻は外で仕事をしているので自宅で仕事をしている私に家事の負担がかかってくる。
ところがこれが見え難い存在なのだ。というのはほとんどが現状維持か回復の仕事である。食事のあとの食器洗い、掃除、洗濯など労力をかけてももと通りになるだけ。だから見え難い。
外に働きに行く多くの男たちにはその大変さがわからないだろう。しかしその労力を放棄すれば住まいはたちまちスラムと化す。生活していく上で大切な仕事なのである。
だから住まいはそれをいかにやりやすくするかの工夫の蓄積となる。
昨日、私が設計したキッチンセットを作ってもらっている家具製作者と電話で打ち合わせをしていたときのこと。
シンクの排水孔の位置が、以前はシンク内の右か左か真ん中にあったのが、最近は中央の奥に引っ込んだ形で設置されているものが多くなった。ところがその家具製作者が今までその理由を知らなかったことがわかりびっくりした。
その理由は、以前の位置ではシンク内に置いた鍋やボウルが排水孔をふさぐことがあり、水が流れずシンク内にたまってしまうことが多いからだ。排水孔を避けるように鍋などを置くようにしていると作業に制約がおきるし気苦労も多い。
そこで鍋やボウルを置くことのない中央奥に設置されるようになったのだと家事をしている私は思っている。
日頃家事をしているとこんなささいなことにも気がつく。