戻って途中にあった書院に立ち寄った。
幸運なことに、普段は非公開の奥書院も公開されていた。若冲の絵を観ることができる。
まず表書院から入る。ここには丸山応挙の虎の襖絵がある。応挙は実際には虎を見たことがないのだろう、猫のようなかわいらしさをちょっとただよわせながらも迫力がある。
書院に庭園はつきものだ。ちょっと外に目をやって息抜きをする。
奥書院に入ると伊藤若冲の壁画や襖絵を次々に観ることができた。特別公開のタイトル通り若冲百花繚乱という趣に圧倒される。
ということで岸岱(がんたい)の鷺の絵に出会ってほっとする。
ところが最後に思わぬ作品に出会った。襖全体に咲き競う椿の花が描かれている。彼に違いないと直感した。フランスノルマンディーにある寒村の廃墟だった礼拝堂を林檎の壁画でよみがえらせた田窪恭治だ。
説明を読むとやはりそうだった。まだ製作途中で下書き部分もあった。4月下旬からは製作姿が公開されるらしい。
その絵を絵葉書で紹介する。
このような椿が何枚もの襖に描かれている。
絵葉書の写真では感じがわからないのはなにも描かれていない部分が撮られていないからだ。空白の部分があるからこそとてもいい感じなのだが。
そして製作の途中はこんな感じだった。
実は製作途中を撮った絵葉書と思って買ったのだが、よく見るとタイルに焼いた壁画のようだ。
次に妻の希望で隣の高橋由一の常設館に寄った。一部が切り開かれた鮭の絵で有名な画家である。
金比羅宮と高橋由一とは不思議な取り合わせだが。そういえば田窪恭治や堀江謙一だってそうだ。それに金丸座での東京から歌舞伎役者を呼んでの公演もすばらしい。
琴平は古い町でありながらなかなか面白いところである。
いよいよ金丸座での歌舞伎見物となる。(その5に続く)