用事で車で出かける妻に図書館まで送ってもらった。
図書館は小淵沢駅よりさらに下にあるのだが、帰りは歩くことにした。
図書館で山口耀久(あきひさ)著「定本・北八ツ彷徨」を見つけて借りる。
北八ツとは北八ヶ岳のことである。
この「北八ツ彷徨」はもともと半世紀前に出版されて広く読まれた本なのだが、20年ほど出版されたところで著者の要望で絶版になっていた。
しかしその後書き直されて10年前に再出版された。だから「定本」という文字がついている。
実は私も44年前の春に北八ヶ岳の山々を、深い雪をかき分けながら単独で4日かけて縦走したことがあり、そのときの童話の世界に迷い込んだような印象は今でも脳裏に強く刻まれている。
その後この本の存在を知って読んでみたいと思いながら、自分の思いとは食い違うことを恐れて今まで読まずにきた。
さて図書館を出て韮崎と長野県諏訪の国道299号とを結ぶ県道17号、別名七里岩ラインを地下道で横切って北へと登って行く。
中央線の陸橋まで来たとき、手前に神社があるのに気がついた。
車で幾度も通っていた道だが全く気がつかなかった。
それはこの陸橋が架け替え工事をしていて道が狭くなっており、運転しているとそちらへ注意がいってしまうせいであろう。
ちょうど秋祭りの準備中なのだろうか、神輿が出されていた。
その先で昨日の朝のウォーキングで歩いた沢沿いの旧道を登ってホテル・リゾナーレにある丸山珈琲に寄ってコーヒーを買う。
外に設けられた椅子に座ってホテルのイタリア風街路を行き交う人々を眺めながらサービスのコーヒーを飲む。
ここに来る人達は都会の臭いを運んでくるのだが小淵沢はもうすっかり秋である。少々寒そうだ。
小海線の踏切を渡って登って行くとよく食べに来ていた南欧風家庭料理の店コパンの前に出る。
ところが最近営業している気配がない。貼り紙を見つけて読むと8月27日をもって閉店していた。
若い夫婦が経営していたが、大変おいしいばかりではなく、お冷にレモンをちょっとたらしたり、トイレでは便器にいっさい触れることがなく用がたせたりと、店全体にもてなす心がこもっており、繁盛していた店なので大変残念だ。
その先の牧場は日曜日とあって馬に乗る人たちでにぎわっていた。馬たちも総動員で忙しそうだ。
と思ったら裏にはまだのんびりと休んでいる馬たちがいる。
午後出かな?
牧場から白い大きな動物を従えた女性が出て来た。アルパカ?
よく見ると犬だった。種類をきくとスタンダードプードルといって小さく改良?される前の本来のプードルなのだそうだ。
コパンのカルパッチョは特においしかったなーと思い出し、八ヶ岳の山々を眺めながら家への道を登っていった。