宿泊した旅館「しんしま」には、江戸時代の左官、入江長八が残した作品があるとのことだった。
旅館自体がまるでこの付近の農家のような雰囲気を持っている。
外壁の腰壁は四角い平瓦を斜めに貼って漆喰でとめたなまこ壁である。
朝、館内を歩いていたら2階にこんな部屋があることに気がついた。
玄関脇に狭い木の階段があるのを見つけて上ってみた。
2階には天井が低い座敷が二間あり、立派な着物がかけてあった。
そして床の間脇の壁に絵があるが、長八が鏝で描いたものだった。
天井のランプ掛けもそうだ。
ただ暗いので撮影時にカメラが傾いていることに気がつかず見苦しい写真になった。
皆が起きてきたので、朝食前の時間を使って美しいなまこ壁が見られる場所へ車で行ってみた。
なまこ壁の建物が随所に見られるが、特にこの蔵が美しかった。
その隣の木造の家もきれいに補修されていて美しい。
宿を後にして長八美術館に向った。
石山修武氏の設計で、多くの左官職人によって内外壁、床、天井などが仕上げられている。
ただ、伝統の技と先進的な姿の融合を図ろうとしたのかもしれないが、建物自体の姿は
私の好みではなかった。
館内には、長八が筆の穂先よりも小さい鏝までも駆使して画いた絵が数多く展示されていた。
描くものによって、部分部分で使う土の種類まで変えており、その技術には敬服した。
このあと昼食用のおいしい鰻弁当を買うために三島へ向った。