小児科病棟に勤める看護師の妻が帰宅したのは午後2時過ぎだった。昨日の朝から働いているのだが夕べは帰宅できずに宿舎で仮眠、そのまま夜中の勤務についた。
ところが夜半に緊急入院患者があって夜中にするべき他の幼児たちのおむつ替えなどができず、朝からその仕事に追われていたのだとのこと。当然遅れたおむつ替えは後始末に普通よりも手間がかかる。朝出勤してきた看護師たちはそれぞれその日にやるべきことに取り掛かるのでまかせるわけにはいかない。
明日はまた朝から勤務なので遅い昼食をとったあと、そのまま眠ってしまった。夕食は抜き。
以前、某大臣が「自分が選んだ職業なのだから大変だなどというものではない」などと発言して物議をかもしたが、20年も妻を見てきた私にはあまりにも実態を知らなさ過ぎる発言だった。
普通なら現場はもうとっくに崩壊している。それが表面化しないできたのは医師や看護師たちががんばっていたからだ。患者を前にして手を抜いたり、ましてやストライキなどできなかったのである。
行政はそれに甘えてきた。そしてとうとう限界がきてしまった。あまりの過酷さに耐え切れずに退職する人たちが増えた。
私も妻が夜勤のときはなるべく職場まで車で送るようにしている。そんなときは寝るのは1時を過ぎてしまうのだが、夜通し働く妻を思うと申し訳ないような気になる。
看護学校で一緒だった友人たちにも今は別の仕事についている人たちもいる。彼女たちのゆとりのできた生活を見ていると妻にもそろそろやめてもらいたいと思う。