9月6日、倉真温泉をあとにしてねむの木村の入り口前を通過し天竜二俣へとバスは走る。そのあちこちで建設中の第二東名高速道の工事現場を見かけた。
目につかないところでどんどん費やされる我々の税金を、お金が足りない福祉や医療などに緊急にまわすことをしようとしない縦割り行政に腹がたつ。
途中で天竜浜名湖線の、車体に絵が描かれた1両だけの気動車を真近に見たがカメラを構えるひまがなかった。
やがて左手に悠々と流れる天竜川が現れ、ほどなく二俣の町並みに入った。
秋野不矩美術館の駐車場にバスはとまり、ここからは美術館まで道を登って行く。すでに頭上には建物が見えている。これもねむの木美術館と同じ藤森照信氏の設計だ。
私はこの建物と秋野不矩の絵に魅せられて今回で5回目の訪問である。
擁壁も板で覆われ、側溝のふたも木製である。これも藤森氏のこだわりだ。
その裾では花が咲いていた。
そばの丘から見た建物の全容である。
建物中に入るとすぐにスリッパに履き替える。そこは2階まで吹きぬけている高い天井を持つ白壁に囲まれた土間になっていて、太い木の柱と梁がその空間に組みあがっている。
さらにスリッパをぬいで板の間を歩いて行くと長い廊下状の展示室となり、両側に不矩の絵が展示されている。その中のインドの寺院の絵が私のお気に入りである。
さらに奥に行くと広い正方形の部屋に入る。インド砂岩の床が気持ちよくつい腰をおろしたくなるが、実はこの美術館ではそのようにして鑑賞できるようにどの絵も低く展示されているのだ。
しかし残念!私がもっとも期待していた横長の大作「オリッサの寺院」と黄色い大河を必死に泳いで渡る水牛たちを描いた「渡河」の二つの絵が展示されていない!この二つの絵こそこの空間にふさわしい存在なのに。
一旦土間にもどり別の道をたどるとその奥に2階に上って行く階段がある吹き抜けの部屋がある。
2階では浜松市在住の安間佐恵という方の貼り絵展が開かれていた。和紙を一枚一枚貼り、一部を指先などで盛り上げて波のようにしたりなど緻密ではあるが自由に描かれた絵でなかなかよかった。
ねむの木村の子供たちの絵、秋野不矩の絵、そして安間氏の絵と、何か共通するものを感じる絵を見る旅ともなった。