先日、八ヶ岳南端にある三ツ頭に登ったときは西からの冷たい強風にさらされ続けた。
体温を奪われないように防風のために雨具を着け、耳を凍傷から守るためにフードを被った。
実は私はフードは視界を狭めるので嫌いなのだが目出帽を持ってこなかったのでそうした。
手袋もしようかと思ったが少しがまんしてみることにした。
というのは冷たくかじかんだ指先が少し温かく感じられてきたからだ。
かつて冬山に積極的に登っていた頃、氷点下の気温の中でも手はじんじんと熱くなっていた。
試しに登山中の仲間と握手したら、その暖かさにびっくりして「天野さんは凍傷になりませんね。」と言われた。
その機能が残っているかどうかを試してみたかったのだ。
その機能は残っていた。
冷たい風にさらされ続けているのに、指だけではなく手全体が熱くなってきた。
熱くなった手で冷たい頬を被った。
なんだかうれしくなってきた。