住宅を設計する際に考えるのは使用するエネルギーを何にするかということである。
かつて山の中の寒冷地に設計した別荘では電気と灯油を主体とし、プロパンガスは使用しなかった。
理由は、電気は常に供給されているし、万一停電になっても復旧までの時間が早いからである。
また、灯油は施主が別荘へ来る途中でガソリンスタンドに寄って購入してくることにした。
一方プロパンガスは不在時にボンベへのいたずらが多いということを聞いていたのと、業者に一々点検してもらって交換することがなんだかわずらわしく感じたからだ。
だからこの別荘のコンロはハロゲンヒーターを使った。まだIHヒーターがこれほど普及していなかったころである。
最近設計した千葉の家は電気を主体としているがオール電化にはせずガスを引いてガス瞬間湯沸器を設置した。
コンロはIHヒーターである。まだ4、50代の夫婦が高齢になる前に安全なIHヒーターに慣れてもらうためである。
それと将来の生活は電気を主体にしたものになると考えたのである。それも電力会社に頼るのではなく天然ガスで自家発電をする燃料電池が性能アップして普及することを見越してある。
さらに屋根に太陽光パネルを設置して発電するためにパワーコンディショナー設置予定の場所まで配線用のパイプを通してある。
パネルで発電した直流電気を家庭で使用する交流電気に変換するパワーコンディショナーはメーカーによって室内に設置するタイプと屋外に設置するタイプがある。それぞれ考えがあってのことだがどちらにも対応できるようにユニットバスの天井裏で配管を分岐している。天井点検口を開ければ工事できる。
さらに冬でも家中が温まるように深夜電力を使った土壌蓄熱装置を設置している。余っている夜の電気を使用しているので節電しているのである。
残念だったのは冷房に電気を使用するヒートポンプエアコンを設置したことである。このときは地中熱使用のヒートポンプエアコンの存在を知らなかった。不勉強を恥じる。
この家の外壁は土壁である。夏に壁に水をかけて濡らせば気化熱で家が冷えるようにしている。