今、井上靖著「わが母の記」という小説を読み始めている。
内容が大変おもしろい。
ところが同じ題名の映画が甲府の映画館で上映していることを知ったので妻と観に行った。
甲府郊外にあるイオンモールには驚いたことに九つの映画館があり、それぞれが別々の
映画を上映している。
映画館は甲府中心街に数館あるのみと思っていたので駐車場所もなく行きずらかった。
だからこちらへ移住してからは一度も映画を観ることがなかった。
今日行ったイオンモールは駐車場も広いし、色々な店が入っているし、食事ができる所も
豊富だし、映画館も夫婦で2000円で観ることができるところは都内と少しも変わりがない。
今後はせっせと観にこよう。
しかしこれでは市の中心街はさびれるばかりである。
ところで映画がよかった。監督は原田眞人、そして俳優たちは、主人公の「私」である小説家を
役所広司、その母親役は樹木希林、末娘役を宮崎あおい、その他の俳優たちも演技力の高い
面々だ。
父の死後、認知症がすすんでいく母親。樹木希林がうまい。
幼いときに父の愛人に預けられて育った「私」は捨てられたという思いをずっと抱いてきたので
わだかまりを持ちながらそんな母と向かい合っている。ここは役所広司がぴったりだ。
祖母と父親である「私」との間でお互いの気持ちを理解しながら動き悩む末娘。宮崎あおいの
演技力にはあらためて感心する。
母親が亡くなったとき、「私」が愛人に預けられて育った真相を「私」の親から聞かされていた
妻から聞き両親の深い思いを初めて知った私。
それが観た者にも余韻となって残る。
久しぶりにいい映画を観た。