昨夜10時から明けて1時20分までNHK教育テレビで放映された「知るを楽しむ」という番組で瀬戸内寂聴さんが「源氏物語の男君たち」という題で語るのを眠気をがまんして終わりまで観た。
以前同じ局から同じ題で週ごとに放映されたのをまとめたもので、私もその内の何回かは観ている。そのときおもしろかったので観ていない回も放映される今回を楽しみにしていた。
さすがに寂聴さん、自らの恋の経験を踏まえて紫式部の文を深く読み込み、そのときの光や桐壺帝やその他の男君、そして女性たちの心の奥を推測してくれた。そしてそれを書いた紫式部の思いも同じ小説家として推し量って語ってくれた。
あらためて紫式部の、男女の心への観察眼の深さがわかる。そしてそれは紫式部自身が色々と経験していた女性であることもうかがわせる。
観終わって、紫式部を単なる歴史上の人物としてではなく、一人の女性として目の前に浮かびあがらせた番組であった。
私は田辺聖子さん訳の源氏物語を読んだことがあるが、こんどは寂聴さん訳のを読んでみよう。訳者によっても違う面をみせる源氏物語は奥深い小説であり、このようにすぐれた小説が1000年も前に我が国に存在したことはうれしいことである。